5. 共依存のアセスメント能力評価表

共依存の高齢者虐待は、明示されずに曖昧な現象に援助職者が違和感をもった時に気づかれます。身体的暴力や精神的虐待、ネグレクト以上に、発見されづらいかもしれません。ある意味で経験が左右するかもしれませんが、援助職者の皆様が、しっかり共依存の高齢者虐待をアセスメントできることが大切だと思いました。

そこで数年前より、共依存の高齢者虐待をアセスメントできる専門的技術の評価スケールの作成を試みてきました。最終的に出来あがったスケールは短時間で記入でき、自身の専門性が評価できようになっています。評価内容は、以下の通りです。是非、ご利用ください。

1. 家族内の共依存のアセスメント

1)家族内にゆがんだ絆や互いの操作性が存在する可能性を吟味する
2)家族のコミュニケーションに暴力がある可能性を吟味する
3)家族が互いの自立を妨げている可能性を吟味する
4)家族が自己完結している可能性を吟味する
5)被虐待者を分離しても自らの意思で養護者のところへ戻る可能性を吟味する
6)家族内のこれまでの、または現在の力関係もしくは支配関係を吟味する
7)被虐待者が養護者をかばう場面の目撃の有無

2. 養護者と被虐待者のアセスメント

1)養護者の虐待をしている認識の有無を吟味する
2)被虐待者が虐待を受けている認識の有無を吟味する
3)養護者が適切でない介護をしているか否かを吟味する
4)家族の経済状況及び家族と社会のかかわりを吟味する
5)養護者の特徴やケアに対するこだわりを吟味する

3. 職員間や関係機関との連携と仕事への構え

1)困難な事案に対応する際に周囲から支援を受ける
2)困難な事案について周囲のスタッフと情報共有する
3)自身のストレス対処ができる
4)ケースを適切な関係機関につなげられる
5)スタッフ間でカンファレンスを開催している
6)日頃から関係機関とコミュニケーションをとっている
7)困難な事案への対応にもやりがいをもてる

4.虐待を認知した時の対応

1)養護者と被虐待者との関係性に考慮して対応する
2)虐待者(家族)にも対応(ケア)する
3)ケースが抱える問題の優先度を判断する
4)被虐待者を保護する

5.専門的知識

1)虐待に関する法制度についての知識
2)虐待対応に関する措置制度(老人福祉法および高齢者虐待防止法)についての知識
3)成年後見制度についての知識
4)虐待等の研修に参加した

→ 6. 小冊子「高齢者虐待の共依存ケースへの支援 関係性の病にどうかかわるか」